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Archive for the ‘bao cap’ Category

この制帽はベトナムとカンボジアがまだ蜜月期にあったヘン・サムリン政権期(1979年から91年)のものです。形状はベトナム人民軍の82式が使用された時期とほぼ同一で、同時にソ連軍の野戦帽との相似点も多くあります。ベトナム人民軍の一部将軍も、ソ連軍の野戦帽とみられる制帽を着帽していました。94式で全軍が制服を統一する前は、そうした個人の趣向が自由な時期でもありました。掲載の制帽は状態がとてもよく、未使用のようです。品質はベトナム人民軍に比べて材質および縫製もよくできており、しっかりしています。経済的困窮状態で大量生産をしていたベトナムと異なり、ほぼ海外支援に依拠していたこと、兵員数がそれほど多くなかったことなどが、こうした良質の制帽を着用できた理由ではないかと思われます。ここでは82式制帽とソ連軍野戦帽の写真もあらためて掲載し、ヘン・サムリン軍士官用制帽と比較してみたいと思います。
 

ソ連軍野戦帽

ベトナム人民軍82式制帽(将官・佐官用)

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この軍服はこれまで見てきた綿生地の82式と異なり、化繊生地となっている珍しいタイプのものです。そうしたことから南部の気候に合わせて作られたものと思われます。また、生産工場を示すタグもないことからオーダーメードされたものでしょう。生地の色合いも淡い黄緑色であることも、この時期の兵站事情がいかに地方や部隊、あるいは個人のおかれた環境に左右されていたかを示していると思います。そうした意味では、ベトナム人民軍が発足されてから維持され続けてきた社会やコミュニティーとの近接性、あるいは庶民性あふれる軍の在り様が、軍服などの被服からも見て取れるわけです。

↓これらの写真は1984年発行のハノイ市観光地図(Ban do du lich thu do Ha noi=首都ハノイ観光地図)に掲載された各地点の数々です。一枚目は軍事博物館(現在は軍事史博物館)を示す国旗掲揚台、二枚目は「B52戦勝通 り」(Duong Chien Thang B52)で俗称は「飛行場通り」(Duong Tau bay)、現在のチュオン・チン通りです。三枚目はバオカップ時代の象徴である国営百貨店(Bach hoa tong hop)で、現在のチャンティエン・プラザ(Trang tien Plaza)です。その他に当時のハノイを誇らしげに紹介する写真も地図には印刷されています。




↓ この写真は1988年12月にハノイで撮影したものです。タインスアン(duong Thanh xuan)通りから北上してNga tu so十字路に至るところで、「B52戦勝通 り」(Duong Chien Thang B52)または「飛行場通り」(Duong Tau bay)、現在のチュオン・チン通りに右折する大型車両を見つけ、車内から撮影しました。ご覧のようにソ連製ヘリコプターの胴体部分を運搬中です。右折すれば防空軍・空軍施設一帯に向かいます。経済インフラが困窮していた当時は、こうした風景が意外と普通に市内で見られたのでした。

  ↓ これらの写真は同じく88年12月にハロン湾付近にて撮影したものです。軍人たちは82式軍服で結合襟章を着用しています。また、ハロン湾を遊行する客船は中国製ですが、老朽化のあまり先頭部分がひしゃげている様子が分かります。
 


↓ 以下の写真はバオカップ時代を象徴する各種書類や切符の数々です。この時期の人々=軍人の生活がいかに経済的制約のみならず社会的、政治的制約の中にあったかのか、これらの資料が証明しています。
 (1)移動許可書Giay di duong・・・他省への移動にも許可が必要でした。
 
 (2)党員原票phieu dang vien・・・党員証の基本原票です。2枚目には「自身が帝国主義や封建主義制度に遣えたことがあるか、敵に逮捕・拘禁されていたか否か、外国滞在経験があるか、あるなら何の目的でいつか」などの記載事項があるのがわかります。


 (3)祖国建設公債Cong trai xay dung to quoc・・・「政府が10年後に毎年2%の利子を付けて返済する」旨約束する記載がありますが、10年後には貨幣価値を失い大損をした人が多くいたのが現実でした。

 (4)石炭と薪の配給カード 石炭は蜂の巣練炭かもしれません

 (5)食品の配給切符 Phieu mua thuc pham cho loai D-II・・・ハノイ市における配給切符。魚やニュクマム、肉などの文字が見えます。

(6)各種配給切符 Cac loai tem phieu・・・食品や布地などが混在しています。これらの切符は台帳からはさみで切り離すタイプではなく、切手状のものばかりです。

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